2014年4月6日日曜日

follow PANで原画が目盛を書かない習慣はいつ始まったか(備忘録をかねて)


 いまから20年以上前、ビデオアニメの仕事で作画監督をしたときのことだ。

 上手いアニメーターを多数擁し、当時名の知られた東映下請け作画会社の原画さんと仕事をした。その原画さんがfollow PANのカットを上げてきたとき、タイムシートに撮影指定がないことと、follow PAN目盛が入っていなかったことに驚いた。
(※当時、下請け作画プロダクションといえば、ほとんど東映から派生したものだった。とはいえ、すでに東映専属の作画プロダクションではなく、いくつかの大手制作会社の仕事をしていた。作画だけのプロダクションはだいたい似たようなものだった。)

 驚いた理由は
「動きは原画がコントロールするものであり、follow PANカットの場合、タイムシートのカメラワークと、follow PAN目盛を原画自身がつけなければ、そもそも原画を描くことはできない」と考えていたからだ。そうでなければ、動きの計算が成り立たない。

 そこで原画さんになぜなのか聞いてみたら
「目盛はつけなくてよいと教わった」ということだった。

 そうか、そう教わったのであれば、その人の会社のトップアニメーターである、東映長編時代を支えた方が、そのような指導をしたことが社内で受け継がれていったということになるはずだ。

 つまり大元は東映長編時代、ないし東映テレビ時代が始まった頃にある!

 そこまでは推測できたので、東映長編時代を支えたといっても過言ではないアニメーターのおひとりである、尊敬する先輩の大塚康生さんに教えを請うてみた。
 それによると
「東映長編時代、おおむねfollow PANカットで原画が目盛を書くことはなかった。森さんは書いていたと思う」とのお答えだった。

 ということは、当時の東映撮影部に秘密があると、わたしは思った。そこでさらに質問してみた。わたしが知る東映撮影部は、他社の撮影部と違い、「カメラワークは撮影が決めること」という信念をお持ちだった。

 大塚さんが教えてくださったのは
「当時の東映撮影部は、すべて実写のカメラから来た人たちで、撮影は自分たちの仕事と思っており、原画で目盛をつけても、撮影で変えられる。カメラワークがある場合には、どのような素材を作ってどのような画面にするか、先に撮影さんと相談していた。また映写してみて動きの遅い速いがあるときには、二度三度と撮り直した。キャラクターがチョコチョコ移動していくようなカットでは、キャラクターの動きを大判で描いてほしい、あとはこちらで撮影するから、ということもあった」
 とのことであった。これはまさに実写カメラの撮り方である。東映撮影部の出自が実写であれば、そのように考えて不思議はない。
(いま、この大判作画をすると、仕上げ不能になるのでしないこと)

 疑問、一件解決だ。

 ただ先ほど目盛を描かない作画プロダクションの例を挙げたが、同じ時期、同様に東映から派生した大手下請けプロダクションでは、「カメラワークをつけ、目盛を書くのは原画の仕事」とアニメーターに教え、育てていたという事実がある。この会社の社長も東映長編時代のアニメーターである。

 制作会社である東京ムービー(現トムス)で育ったわたしは、上記の会社と同様の教育を受けたし、社内の撮影部も「原画は撮影指定を正しく書く」ことを教えてくれた。

 また、いま現在2014年、follow PANの原画を論理的に描けるアニメーターは少なく、数々の作品で原画を精査してみた結果、正しいfollow PAN指定を完成させている原画は皆無であった。まったく目盛のない、長セル背景原図とスタンダード作画の組み合わせは多かった。
 わかってはいると思われるが完璧とはいえない惜しいカットは2カットほどあった。

 これらはすべて撮影でなんとかされている。今の撮影にはそれができる。

 最後に、あまり経験年数のない原画にしか聞いていないが、セルのタイミングに関係なく、背景引きは基本的に1k引きであることを知らない原画が8割にのぼることを記録しておきたい。セルが3kなら背景も3k引き、セルが2コマ打ちなら背景も2k引きであると思い込んでいる。




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